記憶と記録。その狭間。

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とある幸せな家族の話[鈴鳴家]の感想

 

最高のクトゥルフ神話TRPGのセッション配信のアーカイブをやっと全て見たので走り書きの感想をば。

事前にPL同士でPCたちがとういう関係性なのかという設定を詰めてきて意識のすり合わせをしているので、やたらPCの解像度が高い。
その上PLのRPがとにかく上手いので感情で殴られる、表現力で殴られる、素晴らしいとしか言いようがない。

 

全人類このセッションを見てくれ、という感想になりました。
前後編合わせて12時間30分という長丁場、見るに値する(というと上から目線で嫌ですが)。
何度でも見たい。
卓が終わる頃には、あなたはPC全員のことが大好きになっていることでしょう。

※埋め込みリンクの下にネタバレあり感想あります


youtu.be

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⚠以下ネタバレあり感想⚠
見てない人は是非見てから読んで。頼む、見てくれ。
書きなぐってたら5000字超えてた。

 

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鈴鳴 響子(母)/PL:黛灰

まず黛灰さん、切り抜きで2,3度くらいしか見てなかったけど、なるほどこれが配慮の鬼か。
そしてマルチタスカーで頭の回転が速い。賢い。
ダイスの出目の振り幅が凄い。

序盤はママが家族に言えないことばかりで本当に大変そうでした。でも躱すのが上手い。得た情報量も一番多かったんじゃないかな。
ママの料理ファンブル、めちゃくちゃ面白かった。多分セッション中で1回も料理成功してないよね…?

ママのRPが上手い。隆さんの前では子供のように泣いちゃうのとか、パパがキツめに叱ってたら助け舟を出してあげるところとか、庭で見ないふりをしてくれるところとか。
肌で感じられる優しさ、愛情。ああ、これがお母さん。

戦闘は本当にヒヤヒヤしました。いやでも「おやすみ」の流れが自然すぎて私がPLしてたらヒュッてなってた。ママとしては家族を傷つけたり怖がらせたりしたくないけど、娘たち視点から見たらママは怪しいし怖いから言うこと聞けないし、、、というジレンマ。

お母さんとして今の状況をどうにかしようとするアクションは起こせるかな、と言っていましたが、「家族禁止」、天才か?????
血は繋がっていれど、ひとりひとり違う人間。
今だけは「お父さん」「お母さん」「お姉ちゃん」「妹」の枠を取り払う。
これ現実の家庭でも有用だと思うんですよね。
この「家族」というものへの認識というか、価値観というか、観念ですかね。これが黛灰だから出てきたのか、鈴鳴響子として出てきたのかは私にはわかりませんが、ただ凄いとしか言えない。

あとは細部までテキストを読み込んでるのでよく覚えてるが故、伏線回収が上手い。
綺麗な夕焼けを覚えてる?あの夕焼け、真っ赤だった……のところ、鳥肌が立った。
ここにきて夕焼けの話!もうはるか昔のような気がするのに…

 

鈴鳴 隆(父)/PL:デビデビ・デビル

デビデビ・デビルさん、というとなんかちょっと解釈違いなのでデビちゃんでいいか?
デビちゃんも切り抜きで数回見た程度なので悪魔であることくらいしか知らない。

パパのRPがうますぎる。絶妙な空気の読めなさ、空回りする愛情。家族が大切だからこその焦り。声こそあまり変わらないけど、PLとして喋ってるのかPCとして喋ってるのか一瞬でわかるのが凄い。

思ったことを全部言っちゃうから、パパお前…!みたいな場面が多々あって、でもだからこその鈴鳴隆であって本当に良かった。
キツく言い過ぎたかな、という場面ではすぐに娘たちに謝ってくれるし、パパがみんなのためにと思ってやってるのが空回りしてたりして、ママとはまた違う愛情を感じた。
パパも本当に家族を大切にしてるんだよね。

ママと結婚した経緯があれだからか、ママにすぐデレデレしちゃうのも好き。

パパの何気ない「柚はお姉ちゃんだもんな」。これブッ刺さった。柚が言葉を飲み込むのを感じたもん。これまた悪気なく言ってるから憎めないんだよな~~~~

弱音を吐くシーン、人間臭くて本当に良い。そりゃ現実に戻ったら家族の誰かが瓦礫の下敷きになってて、響子さんが、娘たちが辛い思いをするってなったら、いっそこのままでいいと思うかもしれない。

あとあと、倉庫で2回目の本の中身を柚に見せたくない時の「パパのわがままなんだけどさ」、ズルすぎる。そんなん言われたらもう見れないじゃんけ……ギクシャクしてた時ならまだしも、お互い全部ぶちまけて仲良くなったあとのあの家族じゃもうそんなパパのわがままとかそんな…きいちゃうよ……

リアルに戻ってきた時のPLとしての状況把握の速さ、冷静な判断、悪魔かっこよすぎる。自分が何をすべきか、何ができるのか。父親として…

 

鈴鳴 柚(姉)/PL:健屋花那

すこやさんが私の推しなので今回の卓を見るに至った元凶。元凶というと悪いイメージだけどいい意味での元凶。

わかってたけどRPがえげつねえ。

序盤、柚が李の幸せのための自己犠牲に気づいていないという設定を徹底してやっていて、李の心情を思うと見ていて痛々しいほどだった。
家族の前では「良いお姉ちゃん」でいるのも自覚がなくて、本人も苦しそうでとても良かった。

尿路結石は物によっては光る、めちゃくちゃ笑った。そうなんや……

とろろおにぎり脱走大作戦、本当に天才ですか?????
図書館での友人との会話の後、李の手帳を持ち出したのバレた時の流れ、見ていて本当に辛かったけどああいう地獄が大好物なので……
創作上(というか二次元?)の推しには苦しい思いをしてほしいんですけど、最後は自分のちからでどうにか耐えて前に進んでほしかったりそのまま心折れてしまったりどちらでも好き、私の性癖です。現実を生きている人間にはできるだけ辛い思いはしてほしくない。つまりすこやさんにも辛い思いはしてほしくない。

お姉ちゃんも割と料理とか失敗するね?血は争えない。

「またわがまま言うの?」これPCとしてはポロッと出ちゃった感じだったけど、PLとしては敢えて言ってるよね?????確信をもって刺しに行ってるよね??????ここが地獄か。姉妹喧嘩としてリアルすぎる。

お母さんの進言もあって、というか家族禁止があってから、李のことをちゃんと李として見れるようになってきて、大切な妹だからこそ妹の意思を尊重しようと頑張っていて、成長を感じた。

物置でバイタルという言葉がスッと出てくるの申し訳ないがちょっと笑ってしまった、さすが本職。私の想像なんか遥かに超えて大変そうですが、本当にいつもありがとうございます。

リアルに戻る時の李を助けに行く描写がまじで柚そのもので泣いた。

 

鈴鳴 李(妹)/PL:周央サンゴ

サンゴさんは完全に初見でしたがあなたもRPうまうま勢ですね!!?!?
ありがとうございます、本当に素晴らしかったです。

李ちゃんは幼さ故の感情の不安定さ、身体が弱いことに対する劣等感、パパママ姉の過保護に対する苛立ち、家族へ苛立ってしまうことへの自己嫌悪、そういったところの解像度が高くて本当に凄かった。

不服そうな返事とか、拗ねちゃったりとか……その前にあれだ、初っ端の寝起きRPがうますぎてビックリしたんだよな。

序盤は終始やろうとすることを止められてて苦しそうだったのがまた良かった。
これがずっと続いていたら本当に息が詰まるんじゃないかと思える苦しさだった。

柚のところでも言及したけど、「またわがまま言うの?」って言われたの、絶対李にぶっ刺さってるよね…でもそういうの全部含めての鈴鳴家なんや……辛くて苦しくて愛おしい。

普段心配させないようにとかで言えなかったことを戦闘中に情報共有してくの上手すぎか????李らしさがあって良かった。

家族禁止の時の心から楽しそうな声が救いでした。

リアルに戻って李にターンが回ってきた時の絶望感、家族どちらかしか助けられない、どちらかを選択せねばならない……小学6年生には辛すぎる。あれは泣く。
幸せになってほしい。

 

KP:高生紳士

高生紳士さんも初見。
私が言うことではないかもしれないけど、最後まで丁寧に回してくださって本当にありがとうございました。

地獄を作るのが上手い。地獄への誘導が上手い。天才か???

柚の友達RPで心抉るの上手すぎて好きですとなった。この辺で止まるか…?と思いきやずんずん土足で踏み込んでくるの最高でした。あんなん柚もタジタジになる。

とろろおにぎりRPも好きでしたハム。踊り狂うとろろ……

あとパパの個別探索のときのお茶目な八百屋さんめちゃめちゃに笑った。「と思ったけど嘘で~~す!」仲良しか!

黛さんも行ってたけど、ここはokでここはダメ、の線引きが上手い。温情かけすぎないところも好き。シナリオ回すのってやっぱりKPの采配によるところが大きかったりするので、本当に丁寧で、PLの個別探索でも時間配分を考えてたり、でもシナリオの解釈をキッチリ変えずに回してくれる人だなと思いました。

BGM・背景の切り替え、テキストを全体または個別に送る、個別の質問に答える、あなたもマルチタスカーですね?
BGMのチョイスが良くて、不穏BGMが流れるたびに心臓がギュッとなりました。

「あなたは家族を愛していますか?」のところでBGM止めるの、わかってる。わかってるなあ……

 

結末について

できれば幸せにそのまま全員生存ルートで行ってほしかったがあれを生き残るのは相当の運がないと無理だな…と思った。
そもそもターンの巡り順がエグすぎる。
柚の「逃げません」の言い方かっこよすぎる。そうだよね、家族を置いて逃げないよね。
全員がちゃんとPCとして動いていて良かった。ダイスの女神よ……

「李は2ターンとかわからないもんね」というサンゴさんの発言でハッとした。あそこでPCとしての視点を持てているところ、本当に恐ろしいほど素晴らしいです。全員を助けたいであろうに……

ママが李にどっちでもいいよ、李の好きなようにしなさい、って言うところ、その包容力、肯定力が本当にお母さんで涙腺が崩壊した。

あの絶望の2ターン、思わずずっと手を組んで祈った。アーカイブで見ていたので祈ったところで……ではあるがそれでもなお祈ってしまうほどには鈴鳴家全員に生きてほしかった。

李が泣きながら、絞り出すように言葉にした「逃げます」。
本当に辛かった。どちらの選択をしても辛い。
父の「せめて李だけは逃げて生きてほしい」という想い。
姉の「李が生きて笑ってることが私の幸せ」という願い。
母の「李が本当にやりたい道を選んでいい」という愛情。
だめだ書きながら涙出てくる。つらい。
全部受け止めて、生きるという選択をした李、せめて幸せに生きてほしいという思いしかなかった。

3人の最期のシーン、柚の「それまでまたしばらく一人っ子かな」。
最後の最後でちゃんと両親に甘えられたのが、せめてもの救い。泣く。

鈴鳴家のことがいつの間にか大好きになってた。
動画が終わる時は本当にとても寂しくなった。この家族がもう見れなくなるのかと……

 

しばらく引きずると思いますこれは。

私の家族はお世辞にも仲が良いとは言えないような家族だったけど、みんなが本心を言えていればまた少し違う形になっていたのかもしれないと考えさせられた。

KPの高生さんも言ってたけど、すべての会話が、彼らの発する一言一句が本当に意味のあるもので、鈴鳴家の日常を卓内のたった3日のRPであの解像度で視聴者側に見せてくれて、すれ違いぶつかり合いがあって、家族でそれを乗り越えて……

それがあってこの結末に行き着いたなら、もう何も言うことはないです。
生きてほしかったと願わずにはいられないけど、これが鈴鳴家としての最善を尽くした結果だと。

何も言うことはないとは言ったけど、卓中で柚がたくさん辛い思いをしたので、幸せになってほしかった。できれば生きてほしかった。
でもあそこで李の手当てをしようとするのが柚だもんな。姉としても、鈴鳴柚としても、李のことが本当に大切で、愛していたんだよね。

ダイスの女神は微笑まなかった。
これがクトゥルフ神話TRPG

 

ロスト救済シナリオをしてくれとは思わないです。
デビちゃんも言ってたけど、ちゃんとPCとして死んでくれたので、殺してくれたので。
生き返るのは私の解釈とは違うんだよね。

ただただ、幸せに生きてほしかったという願いが残り続ける。
鈴鳴家のアルバムのページがこれ以上増えることはない。
たった一人、鈴鳴李を除いては。

幸せに生きてくれ、李。
家族みんなの分まで、なんて贅沢なことは言わない。
李の、その小さな体が幸せでいっぱいに満たされるくらいには、幸せになって。

 

本当に本当に、素晴らしいシナリオと、素晴らしいKPと、素晴らしいPLと、素晴らしいPCと、素晴らしいRPでした。
最高の物語をありがとう。